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善き人のためのソナタ

勝手にドイツ映画祭り 第11弾!

ドイツがまだ東と西に別れていた頃
ベルリンの壁を隔てた東側のドイツでは
反体制派に対する国民管理が厳しく行われていた。
西ドイツの資本主義的思想は
見るのも聞くのも口に出すのも厳禁で
もし誰かの耳に入れば処罰される。
国民が互いに監視、密告しあい
そこに自由はない。

そんな世界で厳格に国の職務を勤めるヴィースラーは
同僚に誘われ劇を見に行くのだけれど
そこで出会った男女によって
今まで頑に信じてきた価値観が崩れ
草原に花でも見つけるように
暖かい柔らかな感情が芽生えていく・・・

無慈悲でホントやなヤツだったんだぁヴィースラーって。
とにかく国に対して忠実すぎるほど忠実で、
大学の教鞭をとるときに
少しでも異論を唱える学生がいると
名簿にチェックを入れるような人。
人格を崩壊させるような厳しい取り調べを
淡々と無感情でできる人だったのです。

監視される側の劇作家のドライマンと恋人のマリアは
心が強く繋がっているかというとそうでもなく
愛し合っていながらも、ある出来事がきっかけで
すごく不安定な関係だったことが浮き彫りになる。
マリアの行動は賛成できないけれど
あの状況では仕方なかったのかなぁ。
ドライマンを信じていたらよかったのに。
人の脆さと、一人の力ではどうしようもない状況。

自由な世界に気づき、上司の実情が見えてきて
密かに国に背いていく。
劇作家仲間や、この映画のタイトルの所以も注目です。

人々の戦いの中で、ベルリンの壁崩壊が起こる。
もう、最後が・・・最後が・・号泣しちまった。

すごくギュギューーッとしめつけられました。
その後、二人はどうしたんだろうか。想像が膨らみます。 ★★★★★

マーサの幸せレシピで主演女優だった人がマリア役でした。
美しく、重めの女性役がピッタリです。


善き人のためのソナタ_e0038717_20234974.jpg善き人のためのソナタ
舞台は東ベルリン、時は1984年。すべては単純な調査の任務から始まる。ゲルド・ヴィースラー大尉(抑えていながら深く感情を込めた演技のウルリッヒ・ミューエ)は国家保安省シュタージの一員。この手の仕事のスペシャリストだ。有名な劇作家ゲオルク・ドライマン(セバスチャン・コッホ、『ブラック・ブック』)とその恋人で女優のクリスタ=マリア・ジーラント(マルティナ・ゲデック、『マーサの幸せレシピ』)を監視することになる。ドライマンはブラックリスト入りしている演出家アルベルト・イェルスカ(フォルカー・クライネル)のような反体制派と関わりがあることで知られているが、記録には傷がない。だが、この実直に見える市民を監視する隠れた動機がヘムプフ大臣(トーマス・ティーメ)にあることがわかり、すべては一変する。すなわち、この監視には個人的な理由があったのだ。
by ukigumo-kaza | 2007-09-30 20:26 | 海外映画
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